仕事や旅行などで中国に出る際、スマートフォンがそのまま利用できれば便利ですよね。
大手キャリアなら何の心配もないのですが、MVNOはうまくいかないケースの方が多いです。
その場合、別にプリペイドSIMを購入することになりますが、国内で発売されているものよりも、中国や香港のものの方がリーズナブルになります。
MVNOは海外でのデータ通信に非対応
大手キャリアの場合、中国でスマホを使うことは難しくありません。所定の手続きを踏めば、そのまま中国でも通話やデータ通信を行うことができるようになっているからです。
問題はMVNOです。日本国内で使っている分には安くていいのですが、中国をはじめとする海外ではうまく使えないという事態になりかねません。
まず、そもそも「国際ローミング」に対応していないケースがあることです。国際ローミングとは、簡単に説明すると海外から日本の回線につなげる仕組みです。
大手キャリアは、必ずこの国際ローミングに対応しています。MVNOが国際ローミングに対応していなければ、どう頑張っても中国でスマホを使うことはできません。
MVNOの中には、国際ローミングに対応しているところもあります。しかし、そうしたケースでも、大半は通話にしか対応しておらず、データ通信には対応していません。
つまり、スマホで通話を行うことはできても、ネット回線に接続できないという事態が生じます。スマホがネットに接続できないとなると、利用価値が半減してしまいます。
国内の海外旅行用プリペイドSIMは割高
こうした事態を招かないようにするため、海外旅行で使えるプリペイドSIMが販売されています。プリペイドSIMには、国内で販売されているものと、現地で販売されているものがあります。
国内ではIIJmioなどが海外用のプリペイドSIMを取り扱っています。国内ゆえの安心感はありますが、問題は価格面です。
42ヶ国・地域での利用を念頭に置いていることもあり、料金は税抜き3850円です。しかも、データ容量は、たったの500MBしかありません。
2、3日の旅行であっても、この容量では不安があります。結果として、可能な限りデータ通信を使わず、宿泊先などのWi-Fiに頼るという不便な事態になりかねません。
これに比べて、中国や香港のプリペイドSIMは、現地での使用しか念頭に置いていませんので、2GBが1000円台で入手可能です。しかも、現地だけでなく、日本の通販サイトでも入手可能なのです。
もし渡航先が中国や香港に限られているのなら、たくさんの国で使うことを念頭に置く必要はありません。リーズナブルな現地のプリペイドSIMが、有力な選択肢となります。
プリペイドSIMを入手できる中国の3キャリア
中国の大手キャリアとしては中国移動、中国联通、中国電信の3つがあります。いずれも日本の通販サイトで、プリペイドSIMを取り扱っています。
ただし、あくまでも海外のキャリアですから、日本で使用されているスマホとの親和性が高くないケースもあります。それぞれ、どのような特色を持っているのでしょうか。
最大手だが日本のスマホと親和性が問題の中国移動
キャリアとしては中国では最大手です。シェアは50%近く、一見すると中国国内では使いやすそうに思えますが、問題は日本で使用されているスマホと親和性が高くないことです。
まず、3Gの通信方式が問題になってきます。中国では都市部はともかく、地方に行くとLTEの電波が届かず、3Gに頼らなければならないということも珍しくないためです。
中国移動の3Gの通信方式は、中国独自のTD-SCDMAで、対応している日本のスマホは皆無です。つまり、プリペイドSIMを利用していても、地方に行くとスマホが使えなくなる可能性があるのです。
LTEについても、主に使われているTD-LTEに対応しているのはau系のみで、ドコモやソフトバンクのFDD-LTEに対応してから時間がたっていません。
SIMフリーの端末や、auからの乗り換え組なら大丈夫でしょうが、ドコモやソフトバンクからの乗り換え組は対応に不安が残ると言っていいかもしれません。
ちなみに、価格は3GBで1200円程度となっており、3キャリアの中では最もリーズナブルです。ただし、上記の問題点を念頭に置いておく必要があります。
ドコモ、ソフトバンクと親和性が高い中国联通
中国国内でのシェアは3割強で、2番目になります。ただ、日本国内の通販で最も入手しやすいのは、ここのプリペイドSIMです。これは、ドコモやソフトバンクのスマホと親和性が高いためです。
まず、3Gの通信方式は、ドコモやソフトバンクと同じ方式であるW-CDMAを採用しています。ドコモやソフトバンクのスマホなら、LTEの届かない地域でも実用になる可能性が高いのです。
問題はauのスマホで、3Gの通信方式がCDMA2000と異なっています。また、最近のVoLTE対応の端末はそもそも3Gに対応しておらず、いずれにしても3Gが利用できる可能性はほぼないです。
LTEについては、ドコモやソフトバンクと同じFDD-LTEです。auもFDD-LTEのBAND1には対応しているため、4Gについては利用できる可能性が高いです。
国内でのプリペイドSIMの流通量が多いのには、ちゃんと理由があるのです。中国に行くなら、ここのプリペイドSIMを選んでおけば、大きな問題が起きる可能性は低いでしょう。
価格についても、2GBで1500円台です。中国移動よりはやや高いですが、国内のものよりはリーズナブルなので、おすすめと言えます。
auとの親和性が期待できる中国電信
中国の国営企業がルーツとなっていますが、シェアは国内で一番低く、2割に届いていません。ただし、日本のスマホとの親和性という点では、最大手である中国移動よりは期待が持てます。
まず3Gの通信方式ですが、auと同じCDMA2000です。auの比較的古いスマホならこの方式に対応していますので、LTEの電波が届かない地域でも利用できる可能性があります。
ドコモとソフトバンクのスマホはCDMA2000に対応していないので、3Gは利用できません。日本のスマホとの親和性では、中国联通ほどではないかもしれません。
LTEについてはFDD-LTEを採用しています。日本のスマホならすべて対応しているBAND1を利用できるため、LTEについては問題なく利用できそうです。
ただし、シェアが高くないということは、利用できる地域が広くないということでもあります。上記の2社と比べると、地方での利用に不安が残ってしまいます。
価格についても、2.5GBで4500円台と、他の2キャリアより割高です。シェアが低いゆえの流通量の少なさが、価格に反映されているのかもしれません。
中国本土よりも香港のSIM購入がおすすめ
日本の通販サイトを見ると、同じプリペイドSIMであっても、中国本土のものと香港のものが販売されています。どちらがおすすめかというと、香港の方です。
これは、中国国内ではグレートファイアウォール(金盾)と呼ばれる情報管理システムが機能しており、国内で発行されたSIMはこの管理下に置かれているためです。
金盾の管理下では、国外のネットサービスは基本的に利用できません。具体的にはYouTubeをはじめとするGoogleの各種サービス、Twitter、LINE、Facebookなどが該当します。
これらのサービスが中国国内で利用できないのは、痛いなんてもんじゃありません。渡航先で道に迷っても、GoogleMapのお世話になることができないのです。
ただし、この金盾にも抜け道があります。中国国外で発行されたSIMは管理下に置かれていません。日本の3大キャリアのローミングや、国外扱いの香港のSIMは、金盾の影響を受けないのです。
香港のSIMがおすすめなのは、中国滞在中に上記のサービスを利用できるからです。これによって、本来の利便性を失うことなく、スマホを利用できるのですから。