最近話題のAlderLake-N搭載ミニPC、TRIGKEY G4を試してみたのでレビューしていきます。
購入を検討している方は参考にしてみて下さい。
まずコレをみてくれ
今回、非常にお手頃な価格で手が届くミニPCを一台入手してお試ししてみました。
ですが、中身を云々する前にまずはこの写真を見てください。
横に置いたスマホのサイズからだいたいの箱の大きさの想像が付くと思いますが、このサイズの箱に「デスクトップパソコン」が入っているなんて想像出来ます?
さらに言えば本体サイズはこの箱の半分ぐらいしかありません。普通に手のひらに載る小ささです。これで実用性がとても高い性能を実現出来ているところがすごい。
さらにさらに、今回はインテルプロセッサーN95搭載でメインメモリ16GB、ストレージにNVMe接続のSSD 500GBを内蔵したモデルが、クーポン適用でたったの「21,800円」だったのですよ。驚異的ですよね。
今回はこのミニPC、「TRIGKEY G4」の中身や性能、使い勝手をじっくりと確認していきます。
TRIGKEY G4シリーズのスペック
まずは今回入手したミニPCのスペックを確認していきます。
CPUと言いますか、厳密には「SoC」ですね。
こちらは2種類が設定されていて、上位機種には「インテルプロセッサーN100」、下位機種には「インテルプロセッサーN95」が採用されています。
メインメモリは8GBまたは16GB。SSDはすべてNVMe対応のもので250GBと500GBのものの設定があります。
インタフェースポートはギガビットの有線LANポートが1つ、USB3.2 Gen1対応のType-Aコネクタが前に2つ、背面に2つの合計4つ搭載されています。映像出力はフルサイズのHDMI端子が2つ搭載されていて、こんな小さな筐体ながら最初からデュアルディスプレイ対応という贅沢さです。
Wi-Fi 6の無線LANとBluetooth5.2にも対応しています。この辺りのスペックに一切妥協はありませんね。
さらには盗難防止用のケンジントンロックの穴までついています。このサイズになると盗難防止対策は必須ですのでとてもありがたい配慮です。
実はこの機種とそっくりのスペック・外観を持つミニPCは多くのメーカーから出荷されています。
なぜかと言えばベースとなるフレーム=ベアボーンキットと呼ばれる部分をインテル自体が開発してメーカーに提供しているからです。
これにメモリとSSDを搭載、あとは適当なOSをインストールしてメーカーが販売するカタチですね。
今回入手したモデルはWindows 11 Proのバージョン21H2がインストールされた状態で出荷されています。
さてこの機種のCPU、あまり聞かない名前かもしれませんが、今までのイメージで行くとCeleronやPentiumに相当するようなエントリークラス向けのチップです。
もっとザックリというと「ATOM」の子孫に当たるようなマイクロアーキテクチャを採用したCPUです。
ですが大幅な改良が行なわれていて、クロック当りの性能は第6世代のCoreプロセッサや第一世代のRyzenに迫るような能力を持っています。実際にベンチマークテストでは第8世代のノートPC向けCore i5プロセッサを超える性能を発揮してくれます。
さらに蛇足っぽいですがインテルプロセッサーNシリーズのCPU部分は、「第12世代CoreプロセッサのEコア」そのものだったりします。
パッケージの中身など
パッケージの中身はこんな感じです。
最低限と言えば最低限ではありますが、なんと2本「HDMIケーブル」が同梱されています。
1本は比較的長めのもので一般的なデスクトップパソコンとして利用するのに適したもの。もう1本は最低限の長さで、ディスプレイ裏側にVESAマウントして使用するのにマッチしています。
他には簡単な説明書とACアダプターが入っています。
ソフトウェアはスッピンのWindows 11 Pro版のみで、余分なアプリは一切入っていません。個人的には高く評価したい部分ですね。
しかしディスプレイ接続用のHDMIケーブルまで同梱とは豪気ですね。しかもきちんと4K60fpsに対応出来るグレードのもののようです。グレードの高いHDMIケーブルって意外と高いので、この価格でケーブルまで同梱出来るのは本当に驚きです。
簡単なベンチマークなど
いくつか簡単にベンチマークテストも実行してみました。
まずはストレージの性能をみるCrystalDiskMarkから。
接続がPCIe3.0のレーン1本だけですので最近のNVMeタイプのSSDとしては高速には見えませんが、実用上は十分な性能があると考えて良いでしょう。少なくともSATA3接続のSSDを大幅に上回る性能を発揮します。
特に実際の使用感との相関が高い小さなファイルのランダムアクセス性能ではSATA3接続のSSDを圧倒します。
次に純粋なCPU性能をみるCINEBENCH R23の結果はこんな感じでした。
マルチコアスコアが2,727pts、シングルコアスコアも935ptsを出します。
マルチスレッド性能でノート用の第8世代Core i5と第10世代のCore i5の間ぐらいの性能になります。シングルスレッド性能は第一世代のRyzenシリーズに匹敵するものを叩き出しています。
「ATOM後継で高効率CPU」と言われるとごくごく軽いオフィスワークしか出来ないのではないかと思われるかもしれませんが、お仕事としての本当の意味での作業効率を追求しないならば高解像度の写真レタッチや簡単な動画編集作業なども十分に視野に入ると思います。
次に統合GPUの性能はドラクエXベンチマークでチェックしてみました。
フルHD解像度になると画質を多少落としても少々厳しそうですが、HD解像度(1,280 x 720)ドットであれば快適にプレイ出来そうな性能があります。ブラウザゲームなどであれば十分以上ですね。2Dのゲームなんかも快適に遊べます。
実際の使用感・評判
さて、では実際の使用感の方はどうでしょうか。
著者があれこれ試してみた範囲内では十分に快適な操作が可能でした。Windows 11の操作も非常にサクサク動きますし、様々なアプリも従来のATOM系CPU搭載機とはひと味違う「キレ」を感じる軽さでした。
そこそこの性能が出るSSDをシステムドライブに採用していることもあって、Windows Updateの処理性能も十分です。
ただ、テスト環境が4K解像度ディスプレイを使っていた関係もあってか、CPU負荷が100%振り切っていると不思議なタイミングでウィンドウ操作などに引っかかりが出ることがありました。
とはいえ気になったのはこのポイントぐらいですね。通常時はウィンドウ移動操作などもとても快適です。
Amazonのレビューでは同様の機種のコメントで負荷が上がったときのファン音がうるさい、との記載もありました。ですが著者の手元に来た個体の出来の関係もあるのか、CPU負荷が100%振り切った状態でも著者は全くうるさいとは感じませんでした。
もちろんファンが回って風が吹き出す風切り音は発生しているのですが音質は耳につきにくいもので、多くのノートパソコンより静かだと感じました。特に気になりやすい高周波の音が少なく、特別に静かな環境で使用しない限り音が気になることはないと思います。
といいますか、これ以上に静かなマシンが欲しかったら、ファンレス機を探さないといけないのではないかと。
ちなみにCINEBENCHを実行してCPUが100%振り切っている状態でもCPUのコア温度は74度以下に収っており、冷却は十分に間に合っていました。筐体は排気口周辺を中心に少し熱くはなりますが、手で普通に触れられる温度です。
Windows 11セットアップの際の注意事項
Windows 11のセットアップ手順は一般的な手順をたどればOKです。Windows 10の途中ぐらいからこの辺りは非常にわかりやすく整理されていて、誰でも問題なくセットアップを進められると思います。
セットアップにかかる時間も高性能なデスクトップパソコンなどと大差なかった感触です。各種更新処理なども十分な速度です。
ちょっと注意しないといけないのは、出荷状態だとTRIGKEY G4のキーボード設定は中国語圏のものになっていることです。より具体的には初期状態だと「@」や「¥」などの記号がJIS配列と同じキーでは入力出来ません。
このためMicrosoftアカウントでセットアップしようとしたときに、メールアドレスの「@」が入力出来なくてちょっと困るかもしれません。初期状態では「Shift+2」で「@」が入力出来ますのでコレで回避しましょう。
初期設定が終わったら設定アプリからキーボードを日本語配列のものに切り替えるのもお忘れなく。
まとめ
事前の情報からインテルプロセッサーNシリーズが非常に高い実用性を持っていることは分っていました。分ってはいたはずですが、実際にここまで十分以上と言える実用性を持っていることは正直驚きました。何せクーポン込みとは言え2万円ちょっとで購入出来るマシンですからね。
さらにこの価格でHDMIケーブルが2本も添付されていて、ディスプレイを持っているユーザーなら誰でも購入してすぐに使えるのもすごく嬉しいポイントです。PC用ディスプレイがなくても薄型TVがあれば使えますからね。リビングで使うお手軽PCとしてもとてもいい候補になるでしょう。
そしてもっと驚きなのはこの価格帯であるにもかかわらずメインメモリは余裕の16GB、システムドライブには結構高速なSSDを500GBも内蔵していることです。
非常に高い性能を要求するごく一部の用途、例えば業務で動画編集を行なうとか最新の3Dバリバリのゲームを遊ぶなどパソコンに究極の性能を求めるような使い方以外なら、恐らくPCユーザーの9割ぐらいをこのマシンでカバー出来るでしょう。驚異的なコストパフォーマンスです。
さらにとても省電力。フルパワーで動いてもPC本体側は20W程度しか電力を食いません。電力効率面も抜群に優秀ですね。
デュアルディスプレイに本体だけで対応、USBポートも4つ搭載するなど拡張性も十分です。さらに言えば筐体の蓋を開ける気があるなら、中に2.5インチのSATA3接続SSDの追加も出来ちゃうのです。
オフィスワークやWeb巡回と言った軽い使い方メインのユーザーにはメイン/サブ問わず導入を検討してもらいたい1台ですね。